「単位」を覚えきれていない方や、「接頭語」って何だっけ?「物理量」なんて全然覚えてない~!という方いませんか?
そのままの状態で放物の学習を始めても非効率な学習となってしまいます。
このページでは、放物を学ぶ上で覚えておくべき基本的な単位や接頭語、物理量を解説していきますので、今までは理解できなかったことも少しづつ理解できるようになりますよ。
ゲットした知識は表にまとめて一気に覚えてしまいましょう。
600人の放射線技師を育成した放物の学習法、伝授していきます。
目次
さっそく解答例
「初学 放射線物理学 ワークブック」検索番号 A01 の穴埋め解答例と解説です。
先に自分で穴を埋めてみてからの答え合わせでも良いですし、解答例を写してから覚えていっても良いです。ご自分に合ったスタイルで取り組んでください。

解説
物理の学習において重要なポイントは3つあります。
放物学習の重要ポイント
- 単位
- 接頭語
- 物理量
単位
単位も用語の理解と同じくらい重要です。
単位を見れば、その物理量の意味合い(定義)が反映されている場合も多いです。
ということで、まずは単位から挑戦しましょう。
実は単位には種類というかグレードのようなものがあります。
単位に見られる3グレード
- SI基本単位
- SI組立単位
- SI併用単位
SI基本単位
そもそもSI単位のSIとは?
これは国際単位系の略です。
英語表記だとInternational System of Unitsで「IS」となりそうですが、フランス語ではSystème International d’Unitésと表記しますので「SI」となります。
SI単位とはフランス語だったんです。
基本単位というのは、4種類の基本量(長さ、質量、時間、電流)に、温度、物質量、光度の3種を加えた合計7種類です。
長 さ | 質 量 | 時 間 | 電 流 | 温 度 | 物質量 | 光 度 |
m | kg | s | A | K | mol | cd |
ここで注意すべきは質量が [kg] であること。
ついつい [g] で考えたくなりますが、SI基本単位では接頭語を含めた [kg] になります。
SI組立単位
基本単位を組み合わせて表現したものを組立単位といいます。
すべての物理量は基本単位か組立単位で表現することができます。
例えば、速度は m/s と表現することができます。
これは「距離」と「時間」を組み合わせていることを示していますね。
この単位から、速度は
「長さを時間で除したもの」
であることが分かります。
定義っぽく表現すると、
「単位時間当たりに進んだ距離」
といったところでしょうか。
これが用語の正しい理解に繋がります。
SI併用単位
SI基本単位やSI組立単位で表すこともできますが、別の単位が使われることもあります。
たとえば、時間の概念。
時間はSI単位だと [ s ] 秒ですが、[ min ] 分もありますし、[ h ] 時間もあります。
どれを使っても時間を表すことに変わりはないですね。
こういったものを「特別な単位」と表現することもあります。
放物の世界では「周波数」の [ Hz ] 、「エネルギー」の [ J ] や [ eV ] 、「吸収線量」の [ Gy ] が特別な単位としての代表例ですね。
接頭語
あらためて聞くと「接頭語ってなんだっけ?」となる方、実は多いのではないでしょうか?
接頭語は単位と組み合わせて使われ、10の〇〇乗を示す部分です。
その単位を想像しやすくしたり理解しやすくしたりする効果があります。
有名なところで言えば、[km] が馴染み深いかと思います。
例えば、東京から大阪までの距離を表すのに長さのSI基本単位である [m] を使うと「400,000m」となります。
ちょっとピンとこない長さですよね。
これを接頭語を使って表現すると「 400km」 となり、400,000mに比べてイメージしやすくなります。
このように適切な接頭語を用いて表現することで、相手に伝わりやすくなります。
放物で頻出する接頭語をまとめておきます。
T | G | M | k | c | m | μ | n | p |
テラ | ギガ | メガ | キロ | センチ | ミリ | マイクロ | ナノ | ピコ |
1012 | 109 | 106 | 103 | 10-2 | 10-3 | 10-6 | 10-9 | 10-12 |
この接頭語で良く間違うのが n と p です。
それぞれ10-9と10-12を表しますが、ゴッチャになりやすいです。
私が学生だった頃、小テストで出題されて間違えた記憶があります。
20年以上前のことですが、悔しかったせいか、いまだに覚えています・・・
そこで、こう覚えてみてください。
「n」は 9 の英語表記「nine」の「n」
そうすると、n は 10-9だと覚えられそうじゃないですか?
物理量
放物には様々な物理量が登場します。
その中でも電磁波(X線やγ線)に深く関係する「真空中の光速度」や「プランク定数」、粒子線の代表格電子線と深く関係する「電気素量」「電子の質量」は把握しておきたいところです。
ただ、近年の国家試験では問題文中に明示してくれるようになりましたので、数字自体を覚えておく必要性は少なくなりました。
使う場面が分かって、適切に使えれば問題ありません。
※私が学生の頃は明示してくれなかったので、暗記しておく必要がありました。
※放射線取扱主任者試験では明示してくれるとは限りませんので、主任者を狙っている方は是非とも暗記しておいてください。
実際の問題を見ていきましょう

第61回(2009年)に出題された問題です。
解答を確認する。
答えは 3と5 です。
解説
聞きなれない単位が多いですね。おいおい覚えていきましょう。
ただ、さすがにこのセンテンスレベル(超基礎知識レベル)の単純な出題は見つかりませんでした。
- 断面積は「面積」とありますので、単位は m2 です。
- フルエンスは「単位面積あたり」、率は「単位時間当たり」の意味があります。したがって、フルエンス率の単位は 1/m2s となります。
- 正しいです。覚えましょう。
- エネルギーフルエンス率は枝2を参考にして考えてみて下さい。フルエンス率が 1/m2s でしたから、エネルギーフルエンス率は J/m2s となります。意味合い的には、「単位時間あたりに単位面積を通過するエネルギー」といった感じですね。
- 正しいです。覚えましょう。注意点としては、名称に「エネルギー」とありますが、単位の中に「J」や「eV」が出てこないところです。
医療現場での関わり

単位が医療現場でどのように関わっているかなんて、あまり考える人はいないでしょう。
しかし、我々放射線技師はよく使っています。
それは
mAs値!
「mAs値(マス値)」って技師の間ではよく使われる用語ですよね。
線量を表しますが、これは電流の単位である[mA]と時間の単位[s]をくっつけた名称なんです。
この電流を設定する際に、[A]と接頭語をつけた[mA]をしっかりと認識・区別できていないと、適切な撮影条件を設定できないんですね。
まとめ

・SI単位はすべての単位の基本です。
・接頭語は量と単位を理解しやすくする手助けをしています。
・覚えるべき物理量は最近の国家試験では表記してくれますから、あまり気にしないで大丈夫です。
・mAs値設定の際に単位はとっても重要です。
お願い
本サイトに掲載されている図やイラストの著作権は管理人にあります。
無断掲載や転載はお断りさせていただきます。
また、リンクフリーではありますが、画像などへの直リンクはお控えください。