A21 タイトル

 「初学 放射線物理学 ワークブック」検索番号 A21 の穴埋め解答例と解説です。
 先に自分で穴を埋めてみてからの答え合わせでも良いですし、解答例を写してから覚えていっても良いです。ご自分に合ったスタイルで取り組んでください。

さっそく解答例

ワークブックA21 軌道電子のエネルギー準位と結合エネルギーの解答例

解説

軌道電子のエネルギー準位と結合エネルギーの間には、それはそれは深い関係性があります。

エネルギー準位

原子核や原子(軌道電子)は量子力学的に離散的な値しかとることができません。
そのエネルギー値をエネルギー準位といいます。

エネルギー準位をイメージするには蟻地獄を想像してみてください。

ネルギー準位のイメージ図

アリジゴク(原子核)に近いアリ(電子)ほど逃げ場がなく束縛されています。
これは自由度の低い状況。

それに対して、アリジゴク(原子核)に遠いアリ(電子)ほど束縛は緩やかです。
これが自由度の高い状況。

そして、蟻地獄に陥っていないアリは全く束縛されず、自由気ままに行動できます。
電子も原子核に束縛されていない自由電子は自由に動き回ることができます。

つまり、エネルギー準位とは、電子の自由度を示したものと捉えると分かりやすいかと思います。

その自由電子の自由度を 0 とします。
自由電子は原子核からの束縛を受けていませんから、自由度0です。
そして、エネルギー準位も 0 とします。

次いで、K殻の軌道電子の自由度を考えます。
自由電子が最も自由で、その自由度を0としましたから、K殻の自由度はマイナスの概念になります。
当然、エネルギー準位もマイナスの概念となります。


水素原子の場合、K殻軌道電子の自由度は -13.6eV です。
したがって、エネルギー準位も -13.6eV となります。

結合エネルギー

結合エネルギーは束縛の度合いを示しています。

値が大きければ大きいほど、強い束縛を受けることになります。

つまり、エネルギー準位の絶対値が結合エネルギーになります。

水素原子で考えてみると・・・

水素原子でエネルギー準位と結合エネルギーを考えてみましょう。

K殻に軌道電子がある場合、
エネルギー準位は -13.6eV となり、
結合エネルギーは 13.6eV になります。

L殻に軌道電子がある場合は、
エネルギー準位が -3.4eV となり、
結合エネルギーが 3.4eV になります。

実際の問題を見ていきましょう。

これまた、エネルギー準位と結合エネルギーに特化した出題はありませんでした。

出題されないがゆえに、ないがしろにされがちに感じます。

まとめ

管理人
管理人

軌道電子では、エネルギー準位の数字の部分が結合エネルギーになっています。

お願い

本サイトに掲載されている図やイラストの著作権は管理人にあります。
無断掲載や転載はお断りさせていただきます。

また、リンクフリーではありますが、画像などへの直リンクはお控えください。

By たなまる

1984年生まれの放射線技師です。 放射線技師養成校で核医学・物理・電気の講義を担当しています。 放射線技師の割に、不思議なことに現場科目より基礎科目の方を多く持っています。そのせいか、学生からは技師じゃないと思われている節があります。 専門知識よりは、学生が理解しやすい表現を心がけています。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

CAPTCHA



reCaptcha の認証期間が終了しました。ページを再読み込みしてください。