4つの力

4つの力 Four forces

公益社団法人日本天文学会さんの運営されている天文学辞典が詳しいです。

それを踏まえて、放物的知識を交えて解説しますと・・・
自然界に存在する力を分類すると以下の4つになります。

  • 強い力(色の力)
  • 電磁気力
  • 弱い力
  • 重力

我々の生活する範囲では、「電磁気力」と「重力」しか感じることはありません。
「強い力」と「弱い力」は原子レベルのサイズ感で働いています。

また「強い力」「弱い力」という名称は、電磁気力に比べて強いか弱いかを示しています。
電磁気力を基準として考えるんですね。

それぞれ軽~く見ていきましょう。
あくまで軽くです。なんとなく分かれば良いんです。

強い力

結合

強い力はクォーク同士をくっつけて陽子や中性子を作ったり、陽子や中性子をくっつけて原子核を作ったりします。つまり、原子核の内部で働いている力です。

感の良い方はお気付きですね?
「強い力」こそが「核力」なのです。

強い力の大きさは、電磁気力を基準とすると、約100倍です。

4つの力 グルーオン

核子が「中間子」を渡したり受け取ったりすることで、核子同士は結合しています。
その中間子を伝達するものが「グルーオン」と考えられています。

また、強い力は「強い相互作用」という表現が使われることもあります。
更に、クォーク同士に働く場合、「色の力」という別称で呼ばれることもあります。

「強い相互作用」や「色の力」という表現は国家試験ではあまり登場しません。
「強い力」=「核力」と認識しておいてください。

電磁気力

電磁気力

電磁気力は電気の力と磁気の力の総称です。
電気の力は「クーロン力」とも言われます。
磁気の力は「磁気力」とも言います。

電気にも磁気にも正(+)と負(-)があります。
磁気の場合はN極が正、S極を負としています。
同じ符号のときは反発し合い、異なる符号のときは引き合います。

たとえば・・・

  • 電気の+と電気の-は引き合います。
  • 電気の-と電気の-は反発し合います。
  • 磁気の+と磁気の-は引き合います。

ここまでくると、「じゃ、電気の+と磁気の+は?」と疑問に感じた方もいるでしょう。

気になりますね。単純な引き合う・反発し合うという関係ではなくなります。
それはコチラを参照してください。

A7

電磁気力を媒介するものは我々のよく知る「光子」です。

弱い力

弱い力は素粒子の種類を変える力です。

ちょっとピンときませんよね。

弱い力は壊変に関係する力です。
特にβ壊変に密接に関係しています。

放物の教科書レベルでは不可思議な現象に思われるβ壊変を例に説明してみましょう。

β壊変に見る「弱い力」

※ ここの内容は放射線技師国家試験の出題範囲外です。
※ 国家試験でここまでの知識は問われたことはありませんし、理解できなくても問題ありませんのでご安心下さい。

謎多きβ壊変をおさらいしておきましょう。

β+壊変

PETでも利用される質量数11の炭素(11C)で考えてみましょう。

この核種は陽子6個、中性子5個で構成されています。

β壊変が起こると、1個の陽子が中性子に変化します。

そうなると、陽子5個、中性子6個のホウ素(11B)になります。

このときに陽電子(e+)とニュートリノ(ν)が放出されます。

β壊変の流れはこんな感じでしたね。
覚えてましたか?

さて、ではなぜβ壊変に謎が多いのか・・・

それは教科書で見られる「1個の陽子が中性子に変化して」という部分が自然の摂理に反しているからです。

どういうこと?普通じゃないの?

と思う方が多いと思います。

それでは、深掘りしていきましょう。
それぞれの質量を思い出してみてください。

陽子の質量は電子の質量(9.1×10-31kg)の1836倍で1.672×10-27kgです。
中性子の質量は電子の質量の1839倍で1.675×10-27kgとなります。

微々たる差ですが、陽子の方が質量が軽いのです。

そうなると、β壊変は「軽いものが壊れているのにも関わらず、重いものができあがる」という、なんとも不可思議な現象であることが分かるかと思います。
自然の摂理に反していると思いませんか?

汚い話、便を出したにも関わらず、出す前より体重が増えている状況と同じです。
体重増加に歯止めのかからない管理人としては由々しき事態です。

では、なぜこんな現象が起こるのか?
そこで出てくるのが、「クォーク」と弱い力を媒介する「ウィークボソン(Wボソン)」です。

教科書では「陽子が中性子に変化」となっていますが、実際は陽子の中のクォークが変化しています。

図の方が分かりやすいかもしれませんね。

β+壊変 クォーク図

陽子の構成をクォークで表すと、
uudとなります。

u:アップクォーク
d:ダウンクォーク

uがdとW+(ウィークボソン)に変化します。この変化の際に作用するのが弱い力です。

その後、W+がe+とνに分かれて、放出されていきます。

すると、陽子内のクォークの構成がuddとなり、中性子に変わるのです。

でもでも、国家試験でここまでの知識は問われたことはありませんので、理解しきれなくても大丈夫です。

安心して下さい!出ませんよ。

β壊変にしても同様のプロセスで生じますが、詳しくは壊変の項をご参照ください。

重力

重力は質量をもつすべての物質の間に働く引き合う力のことです。万有引力なんて言い方もあります。

媒介するものはヒッグス粒子ですが、放物ではそこまで出てきません。

まとめ

まとめるとこんな感じになります。

4つの力を比較

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By H.Tanaka

1984年生まれの放射線技師です。 放射線技師養成校で核医学・物理・電気の講義を担当しています。 放射線技師の割に、不思議なことに現場科目より基礎科目の方を多く持っています。そのせいか、学生からは技師じゃないと思われている節があります。 専門知識よりは、学生が理解しやすい表現を心がけています。

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