「初学 放射線物理学 ワークブック」検索番号 A20 の穴埋め解答例と解説です。
先に自分で穴を埋めてみてからの答え合わせでも良いですし、解答例を写してから覚えていっても良いです。ご自分に合ったスタイルで取り組んでください。
さっそく解答例
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解説
さて、ここでは原子を構成する因子でもある「電子」についてみていきましょう。
中学生でも知っている基本的な知識を基に、放射線技師として知っておかなければならない内容をプラスしていきます。
物質内の電子の分類
まず、一口に電子といっても、大きく2種類の電子に分けることができます。
既に出てきた「陰電子」・「陽電子」という違いではなく、物質の中のどこにあるかによって名称が変わってきます。
図を参照しながら見ていきます。

自由電子
自由電子は原子核に束縛されていませんので、物質内を比較的自由に動き回ることができます。
※実際には電子は何らかの束縛を受けるので、完全に自由な電子は存在しないようです。
仮定としての「自由」電子のようです。
まぁ、あまり気にせずに行きましょう。
軌道電子
軌道電子は原子核に束縛されていますので、自由に動き回ることはできません。
決められた軌道上をぐるぐると回り続けます。
束縛されていることから、「束縛電子」と呼ぶ場合もあります。
※国試では「束縛電子」という名称は出てこないですね。古い主任者試験の過去問なら出会えるかもしれません。
その軌道は原子核に近い順に「K殻」、「L殻」、「M殻」、・・・のように続いていきます。
軌道に配置される軌道電子の最大数も各軌道ごとに異なります。
- K殻 2個
- L殻 8個
- M殻 18個
- 以下 続く
これを一般式で示すと 2n2 となります。
※nは主量子数といい、軌道の大きさを示したものです。K殻は n=1 、L殻は n=2 といった感じで、1ずつ増えていきます。
軌道電子はこのK殻やL殻といった軌道上にしか存在することはできません。
K殻とL殻の間のスペースには存在できないのです。
こういった連続的でないものを「離散的」と表現します。
また、各軌道の間隔は一定ではありません。
K殻とL殻の間が最も離れています。
次いでL殻とM殻の間が離れています。
お気付きですね?
外側に行けば行くほど、各軌道の間隔は「狭く」なっていきます。
つまり、外側に行けば行くほど、エネルギー準位差が小さくなっていきます。
※エネルギー準位については、A21を参照してください。

実際の問題を見ていきましょう。
自由電子・軌道電子に特化した出題は見当たりませんでした。
選択肢の1つとかならあったのですが、電子づくしとはいきませんでした。
まとめ

原子核に束縛されていたら軌道電子、原子核から束縛されていなかったら自由電子という認識でOKです。
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