A06 等速円運動と角速度を完全攻略!診療放射線技師のためのやさしい物理

こんにちは。たなまるです。

等速円運動、苦手な方いませんか?
直線運動なら何となくわかるのに、円を描く動きになると「急にわからなくなる」という声はよく聞きます。

ここでは、そんな「円運動の?」を解消するために、等速円運動の基本から丁寧に解説していきます。
特に、放射線物理でよく出題される「円形加速器(サイクロトロン)」の理解につながるポイントをしっかり押さえていきましょう。

読み終える頃には、あれ!?サイクロトロン取れるかも!って感じてもらえるはずです。

円の上を一定の速さで動くと何が起きる?(等速円運動の入り口)

円のまわりを同じ速さで動いていると、ぱっと見はただ回っているだけにも思えますよね。
でも実は、運動の向きが少しずつ変わり続けていて、内部でははっきりした変化が起きています。
ここでは、その最初のポイントをいっしょに押さえていきましょう。

等速円運動とは?「速さは変わらないけれど向きが変わり続ける運動」

最初に、この単元の中心になる等速円運動についてきちんと押さえておきましょう。

等速円運動とは、物体が円のまわりを一定の速さで動き続ける運動のことをいいます。
ここでは「速さが一定であること」が大きな特徴になります。

ただし、円のどの位置でも向いている方向が少しずつ違うので、動くにつれて進む向きが変わり続けます。
そのため、速さが同じでも速度そのものは常に変化しているという点がポイントです。

円周上の動きは見た目が単純でも、物理学の視点で見ると多くの要素が関係しています。
このあとの内容につながる基礎になるので、ここでしっかり押さえておきましょう。

なんや?
難しさの香りがすんで・・・

牛助
牛助
たなまる
たなまる

大丈夫。
ひとつずつ見ていこう。

向きが変わるってことは加速度があるということ

速度は「大きさ」と「向き」で決まります。
向きが変わるということは、速度が変化しているということです。

そして、速度に変化があれば加速度が生まれます。
このため、等速円運動は名前とは違い加速度をもつ運動になるわけです。

加速度があるということは、その原因となる力が必ず働いているということですよね。
次のセクションでは、その力が何なのか見ていきましょう。

向きが変わる理由はコレ!円の中心へ引っ張る力

円運動の加速度が常に中心方向(①)であることを示すベクトル図

等速円運動では、進む向きが少しずつ変わり続けていましたよね。
その向きの変化を生み出している原因が、円の中心へ向かう力です。
上の図を見ると、物体の進む向き(速度ベクトル)と中心へ向かう向き(半径方向)がずれている様子が描かれています。
この関係が円運動の特徴になっていきますよ。

中心へ向かう力=向心力とは?

図を見ると、物体の位置から中心Oに向かって矢印が伸びています。
この方向が、円運動を続けるために欠かせない方向です。

物体は本来、その瞬間の速度ベクトル $\vec{v}$ (接線方向) に沿ってまっすぐ進もうとします。
しかし、同時に中心へ向かう引っぱりが働くことで、進む向きが少しずつ曲がっていきます。

このときのように、
物体を円の中心へ引っぱり続ける力のことを向心力といいます。

向心力があるおかげで、物体は外へ飛び出さず、円の道を保ったまま動き続けることができますよ。

もし向心力が突然なくなれば、物体はその瞬間の $\vec{v}$ の方向へ 直線的に進んでしまいます。

外向きに感じる遠心力はなぜ起きる?(見かけの力の説明)

円運動をしていると、外側へ押し出されるような感覚がありますよね。
この外向きに感じる力のようなものを遠心力といいます。

ただし、遠心力は実際に物体へ加わっている本当の力ではありません。
図にあるように、物体は本来、その瞬間の速度ベクトル $v$ →(接線方向) に沿ってまっすぐ進もうとしています。
ところが、同時に中心へ向かう向心力が働くので、進む向きが曲げられて円の軌道が保たれます。

このとき、物体から見ると「自分は外側へ引っぱられているように感じる」わけです。
つまり遠心力は、円運動の内部にいる観測者がそう感じてしまう見かけの力として扱われます。

外側へ飛ばされそうな感覚があっても、実際に物体を外へ押す力が存在するわけではありません。
見かけの力として整理しておくことで、向心力との関係がより明確になります。

円を1周する時間を考えよう(周期)

等速円運動では、物体が同じ速さでぐるぐる回り続けていましたね。
ここでは、その動きを時間の視点からとらえてみましょう。
円を1周するのにどれくらい時間がかかるのかを考えると、運動の理解がさらに深まります。

周期とは?1周にかかる時間のこと

まず、円運動を考えるときに欠かせない用語が周期です。

周期は、物体が円をちょうど1周するのにかかる時間のことをいいます。

たとえば、同じ速さで回っていても、円が大きいほど1周に必要な時間は長くなりますよね。
逆に、速さが大きければ短い時間で1周できます。
周期は、円運動の“リズム”を表す量だと考えるとつかみやすいと思います。

$T=\frac{2πr}{v}$ の意味を見ていこう

次に、周期Tを使った基本的な式を紹介します。

$$T=\frac{2πr}{v}$$

この式は、円運動で1周にかかる時間 $T$ を求める公式です。
$2πr$ は円周の長さを表しています。
つまり、円周の長さを速さ $v$ で割れば、1周にかかる時間が求められますよという関係式です。

この式から、

  • 半径 $r$ が大きいほど周期は長くなる
  • 速さ $v$ が大きいほど周期は短くなる

という直感的な関係がそのまま読み取れます。

周期という量が、円の大きさと速さによってどう変わるのかを知るための基礎になるので、しっかり押さえておきましょう。

グルグル回る速さを角度で表すと?(角速度 $\omega$ )

円運動を表すとき、速さだけでなく“どれくらいの角度を進むのか”という視点を使うと、動きがとても扱いやすくなります。
ここでは、その角度の変化の速さを表す量を見ていきましょう。

角速度 $\omega$ の定義と単位 rad/s

円運動では、物体の位置が角度で表せます。
その角度がどれくらいの速さで変化するかを示す量を角速度(かくそくど)といい、記号 $\omega$(オメガ) を使います。

角速度 $\omega$ とは、単位時間あたりに回転する角度を表す量のことです。

たとえば、1秒で90度進むなら大きめの角速度、ゆっくり30度しか進まないなら小さめの角速度になります。

角度の単位にはラジアン(rad)を用いるため、角速度の単位は rad/s となります。

角速度を使うと、円運動を角度の変化として直接扱えるようになるので、この先の式や話につながりやすくなります。

角速度と速さの関係式 $v=r\omega$ の導出と理解

角速度を使うと、物体の速さとの関係がとてもシンプルに表せます。

円運動では、半径 $r$ の円周を進む物体が、角速度 $ω$ で回っているとき、
速さ $v$ は次の関係で表されます。

$$v=r\omega$$

円の外側にある点は、中心から遠いほど大きな円周を動きますよね。
そのため、同じ角度だけ回っても、半径が大きいほど進む距離(=速さ)も大きくなります。

この式は、

  • 半径 $r$ が2倍なら、速さ $v$ も2倍
  • 角速度 $ω$ が2倍なら、速さ $v$ も2倍

という直感的な関係をそのまま表したものです。

角速度を使うと、円運動の速さをすっきり整理できるようになるので、ここでしっかり押さえておきましょう。

円運動に必要な力の大きさを求める(向心力の式)

ここまでで、円運動には中心へ向かう力が必要で、その力を向心力と呼ぶことを見てきました。
では、その向心力の大きさはいったいどれくらいになるのでしょうか。
ここからは、円運動に必要な力の大きさを式として整理していきます。

$F=mr\omega^2$ と $F=\frac{mv^2}{r}$ はどちらも同じ向心力

円運動に必要な力の大きさは、次のどちらの式を使っても求められます。

$$F=mr\omega^2$$
$$F=\frac{mv^2}{r}$$

どちらも、物体を円の中心へ引っぱり続ける力の大きさ(向心力) を表しています。

まず $F=mr\omega^2$ について見てみましょう。
この式は、角速度 $\omega$ を使って向心力を表したものです。
角速度が大きくなるほど、物体はより強く向心方向へ引っぱる必要があり、
角速度の2乗に比例して力が大きくなるという関係が分かります。

一方の $F=\frac{mv^2}{r}$ は、速さ $v$ を使って向心力を表した式です。
速く動くほど、そして半径が小さいほど、強い向心力が必要になります。
速さの2乗に比例し、半径が大きいほど力が小さくなる関係が読み取れますよ。

どちらの式を使っても同じ向心力が求められます。
使い分けとしては、手元に 角速度 $\omega$ が分かっているときは前者
速さ $v$ が分かっているときは後者 を使うと自然です。

式が示している物理的な意味(速さ・半径・質量の影響)

向心力の式から、円運動に必要な力がどう変わるのかが分かります。

  • 質量 $m$ が大きいほど、必要な向心力は大きくなる
  • 速さ $v$(または角速度 $omega$ )が大きいほど、力は急激に増える
  • 半径 $r$ が大きくなるほど、必要な向心力は小さくなる

特に、速さが2乗で効いてくる点は重要です。
ほんの少し速くするだけで必要な向心力は大きく増えるため、
乗り物の旋回や、医療機器の回転運動を扱うときにも意識しておくと役立ちます。

向心力の式は、円運動の性質を読み解くための基本になるので、ここでしっかり押さえておきましょう。

実際の問題を見ていきましょう。

たなまる
たなまる

ここまでの知識で解ける問題は、国試では出題されません。
A07:ローレンツ力とは?磁場で荷電粒子が円運動する理由を図解で理解を理解したうえで紹介することにしましょう。

医療現場での関わり

こちらもA07:ローレンツ力とは?磁場で荷電粒子が円運動する理由を図解で理解の最後でご紹介していきますね。

まとめ

円運動では、速さが一定でも向きが変わるため、速度は常に変化していました。
その向きを変える中心向きの力が向心力で、外側へ押されるように感じる遠心力は見かけの力として扱われます。

1周にかかる時間は周期で、$T=\frac{2πr}{v}$ で求められます。
角度の変化を表す角速度 ω を使うと、速さとは $v=rω$ の関係になり、
向心力の大きさは $F=mrω^2$ や $F=\frac{mv^2}{r} で表されます。

円運動は「向心力・周期・角速度・速さ」のつながりで理解できます。

たなまる
たなまる

円運動って、最初はただ回っているだけに見えるかもしれませんが、その中では速度や力が絶えず関わっています。
それぞれの量がどんな役割を持っているのかをつなげて考えられると、一気に理解が深まりますよ。

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電爺
電爺

ほれ、こっちも見ておくとええぞい。

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