「初学 放射線物理学 ワークブック」検索番号 A10 の穴埋め解答例と解説です。
先に自分で穴を埋めてみてからの答え合わせでも良いですし、解答例を写してから覚えていっても良いです。ご自分に合ったスタイルで取り組んでください。
さっそく解答例

解説
ローレンツ因子を用いた計算問題は出題傾向は高くないものの、コンスタントに見かける問題です。
ポイントは、我々の業界でローレンツ因子を使うシチュエーションは、電子を扱ったときだけということ。
そもそもローレンツ因子とは?
Wikiから引用してみましょう。
ローレンツ因子 (英: Lorentz factor, Lorenz term) とは、物体が動いているときに物体の時間、長さ、相対論的質量に依存して変化する因子である。ローレンツ変換の結果現われる因子であり、特殊相対性理論の方程式にしばしば現われる。相対性理論よりも前にオランダ人の物理学者・ヘンドリック・ローレンツにより提唱されたローレンツ電磁気学に現われることからこう呼ばれる。
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%AD%E3%83%BC%E3%83%AC%E3%83%B3%E3%83%84%E5%9B%A0%E5%AD%90 wikipedia
と説明されて、はいそうですか。と分かるのであれば良いのですが、そうでない場合は、実際の運用を見てみましょう。
ローレンツ因子をγ、真空中の光の速度をc、物体の速度をvとすると、ローレンツ因子は次のように表すことができます。
この関係性は非常に重要です。

相対論領域の速度で運動する電子はローレンツ因子を用いて考えなければなりません。
実際の計算問題の解き方は?
ローレンツ因子を用いた計算問題には何種類かのパターンがありますが、すべて電子の運動に関する出題です。
したがって、電子の問題の場合は もしかしてローレンツ因子を使うかもしれない と疑ってみてください。
たいていの場合、電子の運動速度が明示されています。
その速度が真空中の光の速度(3.0×108 m/s)に対してどのくらいの割合なのか?を計算式に加味していくことになります。
実際の出題は解答例にあげましたので、そちらを参照してください。
放射線技師の国家試験の出題では、答えが綺麗な数字になるように調整されているケースが多いので、安心です。光速の60%とか870%とか。
ところが、主任者試験ですと割り切れない数字になることもあり得ますので、自分の出した答えの数字を疑ってしまいがちです。
ここんとこは出たとこ勝負というか、運に任せるしかない部分です。
受験する回にややこしい数字が出ないことを祈りましょう。
実際の問題を見ていきましょう。

いかがでしょうか?
解答を確認する。
答えは 4 です。
解説
やはり、ローレンツ因子を使う問題は毎年質問が多いです。
純粋に内容を質問してくれることもありますし、「このジャンル、捨ててもいいですか?」なんて問われることもあります。
やり方さえ覚えてしまえば難しくないので、「捨てて」しまうのはもったいない気がします。
これ系の問題を見ると蕁麻疹が・・・と言うなら仕方ありませんけどね。
さて、気を取り直して。
まず、電子の全エネルギーは質量エネルギーと運動エネルギーの合計でしたね。
お忘れの場合はコチラを参照してください。

まずは全エネルギーをローレンツ因子と質量エネルギーで表現します。
つまり、運動エネルギーの項を無くして、1項で表現します。
次いで、両辺を質量エネルギーで除します。

こうすると、問題文中で問われているE/E0を求めることができます。
続きの式変形を見ていきましょう。
電子の速度vを光速cを使って表現していきます。

解答例に上げたものと同じになってしまいましたが、そのくらい出やすい数字ということです。
これ以外の数字の場合、手計算では難しくなってきます。
国家試験は1問当たり1分33秒で解かなくてはなりません。
計算が難しくなるような数字で出題するのは現実的ではありません。
しかがって、出題されるのは光速の80%もしくは60%だと思われます。
そう思えば、その数字の場合の答えを丸暗記してもよさそうな気になってしまいますね・・・
まとめ

電子の運動の場合はローレンツ因子を使うことを考えてください。
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