2026年7月28日に実施した放射線物理学Ⅱ期末試験の解説です。
試験の復習・定期試験対策に活用してください。
試験は説明問題6問、計算問題4問の合計10問で構成されています。
配点は説明も計算も1問10点です。
ただし、説明問題には「キーワードを含めること」という条件があります。
各問題につきキーワードを5つ指定しました。
キーワード1つにつき2点の配点です。
限られたスペースで、キーワードを含めながら、
いかに第三者に伝わる形で説明できるかがポイントになります。
つまり、「知っているか」ではなく、「理解しているか」を問う試験です。
明朗会計ならぬ、明朗採点です。
- 全体概要
- 採点基準について
- 問1 「W値の定義」を説明しなさい。
- 問2 「チェレンコフ効果」を説明しなさい。
- 問3 「ブラッグピーク」を説明しなさい。
- 問4 「衝突損失」を説明しなさい。
- 問5 「電子線の臨界エネルギー」を説明しなさい。
- 問6 「 $\frac{1}{v}$ 法則 」を説明しなさい。
- 問7 20 MeVのα粒子と5 MeVの重陽子に対する衝突阻止能をそれぞれ $ S_α $ 、$ S_d $ とするとき、その比 ( $ S_α $ / $ S_d $ ) を求めよ。
- 問8 5.5 MeVのα線の炭素(質量数12、密度2.25 $ \mathrm{g/cm^3}$ )における飛程を $ R_C $ cm、チタン(質量数48、密度4.50 $ \mathrm{g/cm^3}$ における飛程を $ R_{Ti} $ cmとするとき、 $ R_{Ti} $ / $ R_C $ を求めよ。
- 問9 図の回路のAB間に50Vの交流電圧が印加されている。C点の電圧[ V ]を求めなさい。
- 問10 サイクロトロンにおいて、荷電粒子の回転半径を r、磁束密度を B、質量を m、電荷を q とした場合、荷電粒子の速度 v を示しなさい。
- まとめ
- この記事を書いた人
全体概要
| 受験者数 | 76名 |
| 平均点 | 67.4点 |
| 最高点 | 97点 |
| 最低点 | 33点 |

| 問題 | 正答率 |
| 問1 | 91.4% |
| 問2 | 64.6% |
| 問3 | 62.9% |
| 問4 | 65.8% |
| 問5 | 68.0% |
| 問6 | 79.3% |
| 問7 | 82.0% |
| 問8 | 36.7% |
| 問9 | 63.7% |
| 問10 | 60.0% |
今回の平均点は67.4点でした。
得点分布は中央に集まる形となり、試験としては比較的バランスの良い結果です。
さらに、コアゾーンが70~79点の間に来ていますし、90点以上の高得点ゾーンも中間試験に比べて増加しています。
説明問題では特定の設問だけできていないなどの傾向はみられません。
計算問題では、問8のブラッグクレーマン則の問題だけひねりを加えましたので差が付きましたが、これは想定内です。
今回も各問題の解説に加え、採点していて多かった誤答についても紹介していきます。
採点基準(クリックして開く)
採点基準について
採点基準は一言でいうと
「他人に伝わる形で表現できたか」
です。
何も知らない第三者に伝えることを念頭に置いて回答してください。
実際は色々と知っている私が採点しますが、基本理念としてお忘れなく。
説明問題
説明問題の採点基準は以下のポイントに基づきます。
- 現象・用語の肝になるキーワードが含まれているか
- キーワードが正しく使えているか
- 日本語が正しいか(表現・誤字・脱字)
- 図示の指示がある場合、図が正確か
現象・用語によってキーワードの数が異なりますので、
キーワード1個当たりの配点は問題ごとに変わります。
日本語も当然見ます。
接続語、主語と述語のマッチングあたりは結構細かく見ています。
物理なのに?
と、思うかもしれませんが、日本語は物理以前の問題です。
図も粒子線は直線、電磁波は波線で表記するといったことから、
何がどこに衝突しているか、曲がる方向は正確か、なども見ています。
「なんとなく意味が伝わる」ではなく、「定義として正しいか」を重視しています。
計算問題
計算問題も同様に採点基準を設けています。
- 求めるものを把握しているか
- 定義されていない文字を使っていないか
- 使用する関係式が合っているか
- 数値の代入ができているか
- 計算過程が合っているか
- 計算結果の数値が合っているか
- 単位が合ってるか
- 数式のルールに則って表記されているか
この辺りを見ています。
計算は「答えを出す作業」ではなく、「等式を用いて解法を説明する作業」です。
計算結果だけでなく、何を求めているのか第三者が追える形で記述してください。
一例を出しておきましょう。
例 A地点からB地点まで時速30kmで走行すると30分かかる。A地点からB地点までの距離[km]を求めなさい
求める距離を $x$ 、速度を $v$ 、時間を $t$ とすると、
$$
\begin{aligned}
x&=vt \\[6pt]
&=30 \times \frac{30}{60} \\[6pt]
&=15 \mathrm{[ km ]}
\end{aligned}
$$
こんな感じになります。
読んでいて、不明点が無いはずです。
初めて読む人が困ることなく読めるかどうかです。
2行目の$ x=vt $はカットして、いきなり$ x=30 \times \frac{30}{60} $ から始めても構いません。
そうすれば、冒頭の速度と時間の文字を定義する必要もありません。
慣れるまでは大変かもしれませんが、慣れておいた方が良いです。
親切な解答を心がけてください。
問1 「W値の定義」を説明しなさい。
キーワード
- 気体
- 荷電粒子
- イオン対
- 平均
- エネルギー
解答例
W値は荷電粒子が気体原子中で1イオン対を生成するのに必要な平均エネルギー。
解説
正解率91.4%と非常に良くできていました。
講義中にも大切な概念であることは伝えましたし、出題の予想が付きやすかったものと思います。
それでも、解答に難航した形跡も見受けられました。
さっそく誤答例を見てみましょう。
正解率が高かったので誤答例は多くありませんでしたが少しだけ。
誤1 間違っちゃいないけど、定義ではない・・・
決して間違いではないです。
間違いではないんですが、「定義」とは言えないかな。という解答。
「W値は軌道電子の結合エネルギーの平均値である。
W値は気体の種類によって決まる。
荷電粒子のイオン対に等しい。」
1行目と2行目はOKですね。
厳密にいえば1行目は少し違う(※後述)のですが、このくらいの理解でOKです。
ただ、「定義」ではないですね。
3行目は意味不明な文章です・・・
何を指しているのか、ちょっと思いつきませんでした。
関連知識を書いてきたことで、W値を知っている気配は感じられましたけどね。
さて、1行目が厳密には少し違うと言いましたが、
講義中は結合エネルギーの平均値みたいなもんだと説明しました。
よく覚えてましたね。
異なる理由はこうです。
荷電粒子は「電離」以外にも「励起」などの現象を起こします。
そういったエネルギー損失の合計値を電離した数で除したものがW値なんです。
なので、厳密にいえば、W値>電離エネルギーとなります。
まぁ、ここまで理解していなくても大丈夫です。
国試で問われることはありません。
誤2 字面は惜しいけど、理解度は怪しい
文章自体は軽微な違いしかないのですが、意味が全然変わってくる例です。
改めて日本語の難しさを感じます。
「荷電粒子が気体中で1イオン対となるための平均エネルギーのこと」
一見良さそうに見えますでしょう?笑
でも、この表記だと荷電粒子がイオン対になってしまいます。
現象として不可思議なことが起きてしまっていますね。
こういう細かい日本語まで採点しています。
採点に時間がかかるのは勘弁して下さいね。
問2 「チェレンコフ効果」を説明しなさい。
キーワード
- 荷電粒子
- 誘電分極
- 透明
- 可視光領域
- 速度
解答例
荷電粒子が透明な誘電体に入射したとき、荷電粒子の速度が誘電体内の光の速度を超えると、誘電分極が起こる。この分極が元に戻る際に可視光領域の光を包絡面状(円錐状)に放出する。この現象をチェレンコフ効果という。
解説
正答率64.6%となりました。
今回の説明の中で最も文章が長くなるのがこの設問でした。
ただ単純かつ曖昧に暗記しただけでは高得点にはなりませんでした。
こちらも誤答例を見ながら解説していきましょう。
誤1 速度が光速を超える?
これはよくある誤解の典型例です。
「荷電粒子の速度が光速度を超えたとき・・・」
現象としては分かっているとは思うのですが、「光速度」と書いてしまうと、
通常は「真空中の光速度」を指してしまうことが多いです。
正確に「荷電粒子の速度が媒質中の光速度を超えたとき・・・」とした方が良いです。
軽微な指摘と言ったところです。
真空中の光速度を超えることができたら、タイムマシンが作れてしまうって話もしましたよね?
誤2 キーワードを無理くり入れようとした結果・・・
おそらく、自分が覚えてきた文章とは想定外の言葉がキーワード指定されてしまったんでしょうか。
無理やりツッコんで、変な説明文が出来上がった例です。
「荷電粒子が誘電分極によって電子線を出して、可視光領域で速度が速くなり、透明になること。」
これは現象として成り立っていませんね。
現象も日本語も変です。
これだと荷電粒子が透明になるんですかね?
そもそも小さくて見えませんけどね。
こういう全然違う現象をあたかも知っている風に書けてしまうのがキーワード付き説明スタイルの悪いところですね。
キーワードは含まれていますが、当然理解しているとは言い難いので、部分点もソコソコになります。
キーワードは正しく使えて初めて得点に結びつきます。
問3 「ブラッグピーク」を説明しなさい。
キーワード
- 飛程
- 末端
- 最大
- 電離
- 荷電粒子
解答例
すべての重荷電粒子は飛程の末端付近で比電離が最大になる。このピークをブラッグピークという。
※「比電離」を「単位長さ当たりの電離量」といった感じのニュアンスにしても正解としています。
解説
正答率62.9%とやや苦戦した問題でした。
単純な説明問題なのですが、キーワードの順番がメチャクチャな解答がチラホラありました。
それに加えて、残念ながら仕掛けた罠にハマってしまった方も多く見受けられました。
では、誤答例を見てみましょう。
誤1 抜けてます!「重」荷電粒子じゃなきゃいけないですよね
これが罠です。
キーワードからあえて「重」の文字を抜いておきました。
「荷電粒子の飛程の末端で電離数が最大になる。」
キーワードは「荷電粒子」ですから、それにつられたんだと思います。
おそらく、試験前は「重荷電粒子」と覚えていたのでしょう。
しかし、キーワード指定から「重」の文字を抜きましたので、自分で補う必要がありました。
この「重」1文字を見落とし、△になった方が多数います。
ブラッグピークは陽子やα線などの重荷電粒子が有する特徴の一つです。
「重」の抜くと、軽い電子を含むことになり、素直に正解とは言えません。
誤2 「最大」が「電離」ではなく「飛程」を修飾している
これもキーワードがあることで、全く知らなくても何とか書けてしまった例でしょうか・・・
「荷電粒子の末端で電離を起こす最大飛程。」
もう、頭痛くなりますね。
僕の講義が悪いのかと自信無くします。
特に「荷電粒子の末端」って・・・
α線の端っこ?
小さいものの更に端っこの超限定した部分でしか電離起こさないのかな?
「変だな?」って思ってくれ。
問4 「衝突損失」を説明しなさい。
キーワード
- 軌道電子
- 荷電粒子
- 電離
- エネルギー
- 励起
解答例
荷電粒子が軌道電子を電離や励起させ、その際にエネルギーを失う過程を衝突損失という。
解説
正解率65.8%でした。
適度な難易度でしたね。
2つある損失の一角、衝突損失についての理解度を見ました。
キーワードがヒントになるように選定したんですが、
「電離」は使えても「励起」をどう絡めるかで苦戦したように感じます。
別の現象なんですが、両者に連続したストーリーをこじつけるケースも見られました。
誤答例で見ていきましょう。
誤1 電子に原子核あったっけ?
これは原子構造の理解が抜けていることを疑わせます。
「荷電粒子の原子核が電離しその核が励起される。
この励起エネルギーが軌道電子が衝突しγ線が放出される。」
※原文まま
これはツッコみどころ満載ですね。
まず「荷電粒子の原子核」と言っていますが、電子の場合はどうなるんでしょうかね?
電子には原子核などありませんが・・・
そして、「励起エネルギーが軌道電子と衝突するとγ線が出る」どういった現象なんでしょうか?
原子核の励起エネルギーが原子外に出ればγ線にはなります。
仮にγ線の代わりに軌道電子を放出すれば、内部転換電子の放出になります。
ついでに、「この励起エネルギーが軌道電子が衝突し・・・」の部分。
「が」が重複してます。
日本語としておかしいです・・・
みなさんの回答を読むのに、私も脳内変換する必要があります。
「こう書きたかったのかな?」、「これと勘違いしたのかな?」
と、思いを馳せます。
それによって途中点の匙加減を調整していくのですが、なかなかに難しい作業です。
誤2 順番でニュアンス変わります
軽微な指摘で箸休めといきましょう。
「軌道電子が荷電粒子に衝突し、電離し、励起するために消費するエネルギー」
油断すると見過ごします。
がしかし、採点時の私は冴えてました。
普段は眠気と闘いながら採点しておりますが、このときはバキバキに覚醒していたと思われます。
一見、良さそうに思えますが、この文章だと、動いているのは軌道電子に見えませんか?
「荷電粒子が軌道電子に衝突し~」という順番の方が良いかと思います。
また、何が電離や励起をするのかも把握しておきましょう。
今回、衝突するのは荷電粒子。
衝突されるのは軌道電子。
電離するのは原子。放出されるのが軌道電子。
励起するのは原子。遷移するのが軌道電子。
こういう状況です。
誤3 電離と励起は別現象ですよ?
これ、結構いました。
「荷電粒子が軌道電子と衝突し、電離を起こす。このとき軌道電子は励起し、エネルギー損失を起こす。」
「電離」と「励起」は別の現象です。
この文章では、電離のあとに励起が起こるように読めます。
電離した後に励起状態になったり、励起の後に電離したりするような連続したストーリーではありません。
問5 「電子線の臨界エネルギー」を説明しなさい。
キーワード
- 電子線
- 衝突損失
- 放射損失
- 運動エネルギー
- 臨界
解答例
電子線の損失において、衝突損失と放射損失が等しくなることを臨界といい、そのときの電子線の運動エネルギーを臨界エネルギーという。
解説
正解率68.0%でした。
ここは「運動エネルギー」の使い方が明暗を分けました。
キーワードが「エネルギー」だけなら書けた方は多く居たのではないでしょうか。
「運動エネルギー」にしたことで???となってしまった方が多かったのではと予想しています。
誤1 運動エネルギーが等しい?
運動エネルギーが等しい訳ではないのですが、結構この表現の方いました。
「電子線において、衝突損失と放射損失の運動エネルギーが等しい臨界点で起きるエネルギー」
等しいのは運動エネルギーと何かではなく、衝突損失と放射損失です。
そもそもここを把握しておかないといけません。
それから、「臨界点で起きるエネルギー」。
これは何を表現しているのでしょうか・・・
どんなエネルギーなのでしょう?
エネルギーがどうなるんでしょう?
私には想像がつきませんでした。
誤2 この誤字は予想してました
軽微な指摘ですが、毎年出るのでご紹介します。
「電子線の臨海エネルギーとは~」
お気付きですね。
別に電子線は海の近辺だけを飛んでるわけじゃないのよ。笑
ちなみに・・・
「臨海」:海のそば。海の近く。
「臨界」:境目・境界。
誤3 想像の斜め上行く解答も
ここまで想像力豊かな回答も珍しいです。
完全に独自路線で新現象かと思わされました。
「ある荷電粒子が衝突損失を起こし、
残った運動エネルギーが電子線として放射され、放射損失を起こす。
このときの電子線のエネルギーが臨界エネルギーとなる。」
ふむ。
どこから修正作業に手を付けたらよいのやら・・・
まず、主語が良くないですね。
お題は「電子線の臨界エネルギー」ですから、主語は「電子線」にしないといけませんね。
この回答では「荷電粒子」が主語になっています。
そして、荷電粒子が衝突した後、どこかからか電子が登場しますね。
電離が起きたのかな?
元の荷電粒子はどうしたんでしょうか?
荷電粒子の残ったエネルギーがなぜか電子線の存在にシフトしています。
どっから来たんでしょうか・・・
一方、その発生した電子が放射損失を起こす。
まぁ、ここはある話でしょう。
このときの電子線のエネルギーが臨界エネルギー・・・
ではないですね。
良く物語を構築しましたね。
違いますけど。
問6 「 $\frac{1}{v}$ 法則 」を説明しなさい。
キーワード
- 中性子
- 断面積
- 速度
- 捕獲
- 比例
解答例
熱中性子の捕獲断面積は、熱中性子の速度に逆比例する。この法則を $\frac{1}{v}$ 法則という。
解説
正解率79.3%でした。
法則名のインパクトが強かったのか、大半の方が書けていました。
ただ、キーワードで少し意地悪をしてしまいましたので、そこで満点を逃してしまった方が見られました。
誤1 すべての中性子がこの法則に依存するとは限らない
結構多かったのがコチラの書き出し方。
「中性子の捕獲断面性は~」
引っ掛かりましたね。笑
すべての中性子がこの法則に従う訳ではないんです。
「熱」中性子が従うんです。
高速中性子などでは話が変わってきます。
キーワードは「中性子」だけでしたから、自分で「熱」を補わなければなりませんでした。
問3のブラッグピークの「重」荷電粒子とおなじパターンです。
中には、確か「熱中性子」だったと思うけど、キーワードは「中性子」だしな~。
と悩んだ方もいたのではないでしょうか?
意地悪してすみません。
こうでもしないと差が付かないもんで。
誤2 物理量が重複してまっせ
「断面積」の意味を勘違いしている方が結構います。
乱暴に言えば、断面積は現象の「起こりやすさ」を表しています。
そこを勘違いしたのかと思われるのがコチラ。
「中性子の捕獲反応がみられ、熱中性子断面積の速度に反比例すること。」
この回答、熱中性子断面積となっていますね。
「熱中性子」というワードを使っているところは良いのですが、
この場合の「断面積」は中性子をぶった切ってできた、文字通りの「断面積」を指していそうですね。
あと、一番不思議なのは、「断面積の速度」の部分。
???
面積が飛んで行くんかい?
不思議な表現ですね。
どういう状況?
水切りの石を想像してしまいましたよ。

問7 20 MeVのα粒子と5 MeVの重陽子に対する衝突阻止能をそれぞれ $ S_α $ 、$ S_d $ とするとき、その比 ( $ S_α $ / $ S_d $ ) を求めよ。
解答例
$$
\color{#B22222}{
\begin{aligned}
\frac{S_α}{S_d}&=\frac{\frac{4 \cdot 2^2}{20}}{\frac{2 \cdot 1^2}{5}}\\[6pt]
&=\frac{80}{40} \\[6pt]
&=2
\end{aligned}
}
$$
※比なので単位はありません。
解説
これは講義中に「絶対に出す!100%だぁ!」って言いましたからね。
みなさん良くできていました。
計算問題としては驚愕の82.0%という正解率。
素晴らしい!
講義でも練習問題を3題もやりましたもんね。
速度Ver.とエネルギーVer.を2つ。
でも間違う方もいるんです。
なぜだ。
全然ひねってないのに・・・
誤1 エネルギーどこいった?
これは関係式を覚えることを諦めたパターンですかね?
絶対に出すって言ったんだから、ちゃんと覚えてきて欲しかったですね・・・
$$
\color{#003366}{
\begin{aligned}
\frac{{}^{4}_{2}\mathrm{α}}{{}^{2}_{1}\mathrm{d}}&=\frac{4 \times 2^2}{2 \times 1^2}\\[6pt]
&=\frac{16}{2} \\[6pt]
&=8
\end{aligned}
}
$$
惜しいですね。
エネルギーどこにやっちゃったんですかね~?
速度かエネルギーのどちらかは必ず使うんですけどね。
問8 5.5 MeVのα線の炭素(質量数12、密度2.25 $ \mathrm{g/cm^3}$ )における飛程を $ R_C $ cm、チタン(質量数48、密度4.50 $ \mathrm{g/cm^3}$ における飛程を $ R_{Ti} $ cmとするとき、 $ R_{Ti} $ / $ R_C $ を求めよ。
解答例
$$
\color{#B22222}{
\begin{aligned}
\frac{\large ρ_{\mathrm{Ti}} \cdot R_{\mathrm{Ti}}}{\large ρ_{\mathrm{C}} \cdot R_{\mathrm{C}}}&=\frac{\sqrt{A_{\mathrm{Ti}}}}{\sqrt{A_\mathrm{C}}}\\[6pt]
&=\frac{\sqrt{48}}{\sqrt{12}} \cdot \frac{2.25}{4.50} \\[6pt]
&=2 \cdot \frac{1}{2} \\[6pt]
&=1
\end{aligned}
}
$$
ρC:炭素の密度
ρTi:チタンの密度
※比なので単位はありません。
解説
正答率は36.7%でした。
講義ではシンプルなブラッグクレーマン則を利用した問題を解きました。
しかし、今回の試験ではヒトヒネリ。
密度を考慮しないといけないパターンで出題しました。
講義では質量飛程、試験は線飛程で出題してみたんですが、気付きましたか?
で、思惑通り飛程の違いで引っ掛かるかと思いきや・・・
そもそもできていない方の方が多かった気がします!
ソコソコ書けていた誤答例を見ていきましょう。
誤1 講義通りにごちそうさまです
これ、当然出ると思っていました。
$$
\color{#003366}{
\begin{aligned}
\frac{R_{\mathrm{Ti}}}{R_{\mathrm{C}}}&=\frac{\sqrt{A_{\mathrm{Ti}}}}{\sqrt{A_\mathrm{C}}}\\[6pt]
&=\frac{\sqrt{48}}{\sqrt{12}} \\[6pt]
&=2
\end{aligned}
}
$$
はい。密度忘れちゃったパターンですね。
しかも、密度を使わなくても綺麗な数字になるような組み合わせにしておきました。
我ながら華麗な罠でしたね。
誤2 もしかして、苦手科目は数学?
ちょっと珍しい感じの誤答例がありましたのでご紹介。
結構惜しいんですよ。
$$
\color{#003366}{
\begin{aligned}
\frac{R_{\mathrm{Ti}}}{R_{\mathrm{C}}}&=\frac{\sqrt{A_{\mathrm{Ti}} \cdot ρ_{\mathrm{Ti}}}}{\sqrt{{A_\mathrm{C}} \cdot ρ_{\mathrm{C}}}}\\[6pt]
&=\frac{\sqrt{48 \cdot 4.50}}{\sqrt{12 \cdot 2.25}} \\[6pt]
&=\frac{\sqrt{216}}{\sqrt{25}} \\[6pt]
&=\frac{6\sqrt{6}}{5}
\end{aligned}
}
$$
密度を使うことに気付いたまでは良かったんですけどね。
間違いは2か所です。
①移行した密度をそのままルートの中に入れてしまったこと。
②移行の段階で分母分子を逆にしてしまったこと。
2か所というか、一気に間違えた感じですけどね。
数学が苦手だけど、頑張ったんだ!って感じは伝わりました。
ミスの後の計算はできてましたからね。
まぁ、ミスした後なんで正解には辿り着かないんですが。
努力賞ということで部分点差し上げます!
問9 図の回路のAB間に50Vの交流電圧が印加されている。C点の電圧[ V ]を求めなさい。

解答例
求めるC店の電圧をVCとすると
$$
\color{#B22222}{
\begin{aligned}
V_C&=50 \times 10 \\[6pt]
&=500 \mathrm{[V]}
\end{aligned}
}
$$
※放物では実効値を最大値に変換したりしませんが、医用工学や機器学では、実効値を$\sqrt{2}$倍して最大値に変換する必要性があることもあります。
解説
正答率は63.7%でした。
これは、全然納得がいきません。
この問題はリクエスト問題でしたからね。
「簡単だからコッククロフトの計算出してくれ~」
って散々言うもんだから、仕方ないサービスでくれてやろう。って出題したのに・・・
正解率低いやんけーーー!!!
入力電圧をダイオードの個数倍すればいいだけでしょうに・・・
許せん誤答例を紹介しておこう。笑
誤1 まさかの奇数倍?私並みに目の分解能が怪しい
回路の特性上、ダイオードの数は必ず偶数個です。
つまり、入力電圧は偶数倍されるはずです。
それなのに・・・
$$
\color{#003366}{
\begin{aligned}
V_C&=50 \times 9 \\[6pt]
&=450 \mathrm{[V]}
\end{aligned}
}
$$
おいっ!
メッチャ奇数倍されとるやんけ。
講義中も
「もしダイオードの数を数えて奇数個だったら、
数え間違えてるから、もう一度落ち着いて数えなおすんだよ~」
って言ったのに・・・
私レベルに視力が落ちているかもしれませんよ。
誤2 この計算はどっからきたんでしょう?
2例まとめてご紹介しましょう。
なんでそうなるのか、私には理解できないんですが多かったんです。
$$
\color{#003366}{
\begin{aligned}
V_C&=50 \times 5 \\[6pt]
&=250 \mathrm{[V]}
\end{aligned}
}
$$
謎。
$$
\color{#003366}{
\begin{aligned}
V_C&=2 \times 5 \\[6pt]
&=10 \mathrm{[V]}
\end{aligned}
}
$$
謎2。
まぁ、前者は分からないでもない。
ダイオード2個とコンデンサ2個で1段と考えますから、図では5段です。
そこから5倍としてしまったのではないか?と想像できます。
後者は本当に分かりません。
1人2人じゃないんです。この回答。
「2」はなんの数字?
「5」は5段の5?
ミステリーです。
解答の理由も謎ですし、この回答が多いことも謎。
だれか嘘情報流してません?
問10 サイクロトロンにおいて、荷電粒子の回転半径を r、磁束密度を B、質量を m、電荷を q とした場合、荷電粒子の速度 v を示しなさい。
解答例
$$
\color{#B22222}{
\begin{aligned}
F_R&=F_C \\[6pt]
qvB&=\frac{mv^2}{r} \\[6pt]
v&=\frac{qBr}{m}
\end{aligned}
}
$$
FR:ローレンツ力
FC:向心力
解説
正答率は60.0%でした。
これはいくら言っても必ず捨てる人が出る問題。
移項だけしたらそれで終わりになるんだけどな。
しかも医用工学や放射線治療でも出題される可能性がある。
それなのに、捨てる?
意味が分からない。笑
これを捨てたことによって、国試本番で119点だったら泣くに泣けないだろうに・・・
誤1 ローレンツ力と向心力をそもそも覚えていない & 勝手に文字を使う
このケースが一番多いです。
「そもそも覚えていない」
いや、「覚える気がないんでしょうな」
内容はただの移項だけですから、ローレンツ力と向心力を表せた方は、大体正解しています。
逆に言えば表せなかった人は、数式の最初の行から間違っている訳ですから、途中点もへったくれもありません。
いきなり✕ついて終わりです。
$$
\color{#003366}{
\begin{aligned}
F_R&=F_C \\[6pt]
\frac{q^2}{Bm}&=\frac{r^2 V}{E} \\[6pt]
v&=\frac{Bm}{r^2 q^2}
\end{aligned}
}
$$
うーん・・・
Eってなに?
問題文で定義されていない文字を勝手に使われてしまうと、
その文字が何なのかサッパリ理解できません。
文字的に恐らくエネルギーなんでしょうけど。
どっから持ってきて、どこに使うつもりなんでしょうか。
最終的には左辺にある速度と右辺にあるEを約分してしまっていました。
数学的にも整合性が取れていません。
ローレンツ力はBvq(バーベキュー)で覚えろって言ったんですけどね。
せめてローレンツ力は正確に表現してもらいたかったです。
誤2 中にはいました。最初書けてて間違うパターン
大抵の場合は、ローレンツ力と向心力が表現できていれば正解するんです。
でも、中にはいるんですよ。
例外になりたがる人が。笑
$$
\color{#003366}{
\begin{aligned}
F_R&=F_C \\[6pt]
qvB&=\frac{mv^2}{r} \\[6pt]
\frac{mv^2}{v}&=qBr \\[6pt]
v&=qBmr
\end{aligned}
}
$$
残念。
最後の最後で移項を間違えてます。
mが分子側に来ちゃってますよ。
この方、中間試験ではものすごく得点してた方なんですけどね。
油断したんでしょうか。
凡ミスと言わざるを得ません。
途中点差し上げときましょう。
まとめ
今回の期末試験では、単に用語や公式を覚えているだけではなく、覚えた知識を正しく使えるかを見ました。
キーワードを覚えていても、使い方を間違えれば正しい説明にはなりません。
公式を覚えていても、何を表している式なのか理解していなければ、少し形を変えただけで解けなくなってしまいます。
今回の試験で特に意識して欲しいポイントをまとめます。
- キーワードは、意味と使い方まで理解する。
- 現象を説明するときは、「何が」「何に」「何をするのか」を意識する。
- 公式は丸暗記するだけでなく、各物理量が何を表しているのか確認する。
- 計算問題では、式を立てたあとも移項や約分を慎重に行う。
- 計算結果が出たら、その値で本当に良いのか一度確認する。
今回紹介した誤答例は、実際に皆さんが書いた答案をもとにしています。
惜しい答案もたくさんありました。
一方で、「そこまでは分かっているのに、なぜ最後にそうした?」という答案もたくさんありました。
期末試験は終わりましたが、ここで終わりではありません。
そう、国試がありますからね。
今回間違えたところは、「なぜ間違えたのか」まで確認しておきましょう。
答案は返せませんが、結果はこういう形でシェアしていきます。
同じ間違いを国試でしなければ、それでいいんです。
この記事を書いた人

たなまる
詳しいプロフィールはこちら
診療放射線技師・医療系専門学校専任教員。
都内大学病院で9年間勤務後、
2015年より医療系専門学校の専任教員として
放射線物理学・核医学・医用工学・放射線計測学・放射化学
などの講義を担当しています。
国家試験対策用ワークブックの制作や学習支援サイト「勉強嫌いの放物」の運営を行っています。
保有資格:
・診療放射線技師
・第1種放射線取扱主任者
・作業環境測定士
・衛生工学衛生管理者
ほか、放射線関連国家資格を保有


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