「初学 放射線物理学 ワークブック」検索番号 A15 の穴埋め解答例と解説です。
先に自分で穴を埋めてみてからの答え合わせでも良いですし、解答例を写してから覚えていっても良いです。ご自分に合ったスタイルで取り組んでください。
目次
さっそく解答例

解説
ここでは、質量欠損とは何なのか?を理解し、質量欠損が結合エネルギーになることを理解していきましょう。
質量欠損とは

粒子は単独で存在するよりも、くっついている方が軽くなります。
くっつくことで質量が欠損(なくなる)したように見えるので、この現象を「質量欠損」と呼んでいます。
これを国試によく出る文言で示すと
「原子の質量はそれを構成するそれぞれの粒子の質量の総和より小さい。」
という表現になります。この文言を見かけたら、
「あっ!質量欠損のことを言っているな!」
と思わなければなりません。
なんで質量が欠損するの?
くっつくためのエネルギーを「結合エネルギー」といいます。
この結合エネルギー、どこから供給していると思いますか?
察しの良い方はもうお分かりでしょう。
お互いの粒子が自らの質量の一部をエネルギーに変換しているのです。


質量はエネルギーに換算できるんでしたよね。
詳しくはコチラをご参照下さい。

両者が自らの質量の一部をエネルギーとして使ってしまうので質量が減ってしまうのですね。
結合エネルギーを求めるには?
バラバラのときの質量の合計からくっついたときの質量を引きます。
すると、どれだけ軽くなったかが分かりますよね。
その軽くなった分をエネルギーに換算していきます。

と、理論は紹介しましたが、この式で算出することはほぼありません。
だいたいは欠損した分の質量を統一原子質量単位で求めていきます。
そこで求めた欠損分を 1Da=931.5MeV を用いてエネルギーに換算していくケースが多いです。
こちらの記事で挑戦していますので、ご参照ください。

核子1個あたりの結合エネルギー
原子核の結合エネルギーの合計値を核子の数で除したものです。
これがそこそこ国家試験に出るのですよ。
核子1個あたりの結合エネルギーは56Feが最も高くなり 8.8MeV にもなります。
質量数12以降の平均値は 8.0MeV です。
質量数12以前は変化が大きいので平均値の算出からは除外されています。
なぜ56Feで最大値になるのか。
疑問に思った方はいませんか?
こういうところに疑問を持つか、聞き流すかで理解度に差が生まれると思っています。
質量数56までは、核子が増えるごとに結合エネルギーが優位に増加していきます。
質量数56以降は事情が変わります。
結合エネルギー自体は増加するのですが、同時にあるものも増えていきます。
それは・・・
陽子同士のクーロン斥力です。
くっつこうとする結合エネルギーの増加に対して、離れようとするクーロン斥力の増加の方が多くなってしまうのです。

したがって核子1個あたりの結合エネルギーが低下してしまいます。
実際の問題を見ていきましょう。

いかがでしょうか?
解答を確認する。
答えは 4 です。
解説
核子1個あたりの結合エネルギーは56Feで最大になります。
まとめ

質量欠損は核子が結合することによって起こります。
そして、欠損した質量は結合エネルギーになります。
こちらもぜひ
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