A12 原子核の構造と核子・質量数の違いをやさしく解説【原子番号・同位体も整理】

「陽子と中性子って何が違うの?」
「核子って言葉、急に出てくるけど覚えにくい…」
「質量数と原子番号、どっちがどっちだっけ?」
――そんなふうに、原子核まわりの用語がゴチャゴチャして困っていませんか?
我々講師は簡単な分野と思いがちですが、意外と把握できていない学生も少なくありません。

この記事では、陽子・中性子・核子の関係がはっきりわかり、
さらに「質量数ってなに?」「同位体ってどんなもの?」といった疑問もスッキリ整理していきます!
自分の言葉で説明できるようになるのが目指すところです。

国家試験でも頻出のこのテーマを、よく混同しがちな用語を1つずつ丁寧に整理して解説していきます。

それではみていきましょう。

原子核ってどんな構造?

ご存知だと思いますが、基本的なところから確認していきましょう。

陽子と中性子をまとめて「核子」といいます。

原子核の中には、陽子(+の電荷を持つ)と中性子(電荷なし)がぎゅっと詰まっています。
この2つをひとまとめにして、「核子(かくし)」と呼びます。

ポイント:
「核子」はあくまで総称であり、陽子や中性子の“種類”を問わずに使える便利な言葉です。

そして、陽子と中性子の数を合計したものを「核子数」と呼びますが、
これは実質的に「質量数」と同じ意味になります。

核子数 = 質量数 = 陽子数+中性子数

国家試験では、「核子数を求めよ」「質量数を答えよ」といった問題がどちらの表現でも出るため、両者を同じものとして理解しておくことが大切です。

中性子の方がちょっとだけ重い

陽子と中性子は非常に似た質量を持っていますが、実は中性子の方がわずかに重いです。

粒子電荷相対質量(電子=1)質量
(原子質量単位:Da)
陽子+1約1836倍約1.0073 Da
中性子0約1839倍約1.0087 Da
軌道電子−11(基準)約0.00055 Da

豆知識:
この「わずかな差」は、ベータ崩壊で中性子が陽子に変わるときのエネルギー差にも関係してきます。
国試では「中性子の方がわずかに重い」という表現そのものが選択肢で出ることも!

補足:
「Da(ダルトン)」は、近年「u(原子質量単位)」の代わりに使われることが増えてきた表記です。
試験ではどちらの表記も見かける可能性がありますが、意味は同じです。

電爺
電爺

電子の何倍の質量なのかって覚えておくと、意外と使えるんじゃよ。

中性原子では、陽子数=電子数になる!

「中性原子」とは、電気的にプラスマイナスがつり合った原子のこと。
つまり、陽子の数と電子(軌道電子)の数が等しいという状態です。

この陽子の数は「原子番号」と呼ばれ、元素の“種類”を決める超重要な数です。

例:酸素(O)の場合
原子番号:8 → 陽子が8個 → 電子も8個

陽子数+中性子数=質量数!

陽子数と中性子数を足した合計を「質量数」といいます。
これは「原子全体の重さの中心部分=原子核の重さ」をおおざっぱに表す数値になります。

  • 原子番号(Z):陽子の数
  • 質量数(A):陽子数+中性子数(=核子数)

国家試験ではこの2つを混同させるひっかけ問題も多いので、注意して整理しておきましょう!

原子核のバリエーションを知ろう

同位体とは?【isotope】

同位体(isotope)の例として、炭素12(¹²C)、炭素13(¹³C)、炭素14(¹⁴C)の3つの原子が並んでおり、それぞれに「元素記号が同じ」という赤い矢印が向けられている。上部には「陽子数が同じ(原子番号が同じ=同じ元素)で中性子数が異なる核種」と説明されている。

同じ元素(原子番号が等しい)でも、中性子の数が異なる原子核のことを「同位体(アイソトープ)」と呼びます。中性子の数が異なるので、質量数も異なります。
ポイントは、「陽子数=原子番号は同じ」であるという点です。

図を例にとってみてみましょう。

  • ¹²C(陽子6個+中性子6個)
  • ¹³C(陽子6個+中性子7個)
    → どちらも炭素(C)という同じ元素ですが、中性子数が違う=同位体!となります。

国家試験では「放射性同位体」と「安定同位体」の違いが問われることもあります。

  • 安定同位体:放射線を出さず安定して存在する。
  • 放射性同位体(RI):壊変(崩壊)して放射線を出す。

元素記号が同じだから分かりやすいですね。

たまのすけ
たまのすけ

同中性子体とは?【isotone】

同中性子体(isotone)の例として、炭素14(¹⁴₆C)、窒素15(¹⁵₇N)、酸素16(¹⁶₈O)の3つの原子が並び、それぞれに「中性子数が8で共通している」ことを赤い矢印と計算式(例:14−6=8)で示している。下には「パッと見、同じ要素はないが中性子数は8で統一されている」との解説がある。

同中性子体(isotone/アイントーン)」とは、
中性子数が同じで、陽子数と質量数が異なる原子核のことをいいます。

図の3つの原子核を見てみましょう:

  • ¹⁴₆C → 中性子数 = 14 − 6 = 8
  • ¹⁵₇N → 中性子数 = 15 − 7 = 8
  • ¹⁶₈O → 中性子数 = 16 − 8 = 8

ポイント:
パッと見た感じでは「バラバラな元素」に見えますが、
中性子数はすべて8個で統一されている=同中性子体となります。

同中性子体は、この一手間がイヤやねん。

牛助
牛助
たなまる
たなまる

確かに、パッと見では分からないからね。
でも、そういうときこそ、同中性子体の可能性があるね。

同重体とは?【isobar】

同重体(isobar)の例として、マンガン56(⁵⁶Mn)、鉄56(⁵⁶Fe)、コバルト56(⁵⁶Co)の3つの原子が並び、赤い矢印で「質量数が56で共通している」ことを示している。上部の解説では「陽子数および中性子数が異なり、質量数が同じ核種」と説明されている。

同重体(isobar)とは、
質量数(陽子数+中性子数)が同じで、中性子数・陽子数が異なる原子核を指します。

図の3つの原子核を見ていきましょう。

  • それぞれ元素は異なり、陽子数・中性子数の組み合わせもバラバラです。
  • しかし共通して、質量数が「56」で統一されています!

ポイント:
「同じ重さ(=核子数)でも、中身の構成は違う」
それが同重体の特徴です。
この“中身の違い”が、放射線の性質や壊変モードに大きく影響することもあります。

用語の由来:「iso(同じ)」+「baros(重さ)」=同じ重さ!

こりゃ、オレでもすぐに分かるで!

牛助
牛助

鏡像体(鏡像核)は同重体の“特別バージョン”

鏡像体(または鏡像核)の例として、質量数15の窒素(¹⁵₇N)と酸素(¹⁵₈O)が並び、赤と青の矢印でそれぞれの陽子数と中性子数が入れ替わっていることを示している。両者とも質量数は15で同じだが、窒素は陽子7・中性子8、酸素は陽子8・中性子7となっている。下部には「陽子数と中性子数が入れ替わっていても質量数は変わらず、同重体の特別な状態」と説明されている。

質量数は同じまま、陽子数と中性子数が入れ替わったような関係を「鏡像体(mirror nuclei)」と呼びます。

たとえばこちらの図を見てみましょう。
⁷₁₅N⁸₁₅Oは、どちらも質量数が15で共通しています。
ただし、陽子数と中性子数がそれぞれ 「7と8」↔「8と7」 で真逆になっているのが特徴です。

このように、陽子数と中性子数が“ちょうど逆”になっている同重体のことを、特別に鏡像体(きょうぞうたい)と呼びます。

※鏡像体は同重体の一種です。同重体の特別バージョンという感じです。

たなまる
たなまる

技師の国試には出題されたことはありませんが、主任者試験では見かけます。

核異性体は「中身は同じでも、エネルギー状態が違う核」

核異性体の例として、質量数99のテクネチウム(⁹⁹ᵐTc)と通常の⁹⁹Tcが比較されている。両者は陽子数・中性子数ともに同じであるが、⁹⁹ᵐTcの質量数に付いた「m」は準安定状態(metastable)を示し、エネルギー準位が高い状態を意味する。矢印と注釈で「mがあるとエネルギー準位が高く、崩壊状態が比較的長く続く」と説明されている。

陽子数も中性子数も同じ(質量数も同じ)なのに、エネルギー準位が異なる核種を核異性体(isomer)と呼びます。
つまり、「まったく同じ核種に見えるけど、中のエネルギー状態だけが違う」という関係です。

たとえば図にある ⁹⁹ᵐTc⁹⁹Tc
両方とも質量数99のテクネチウムですが、左の “m” 付きの方は「準安定状態」を示しており、高いエネルギー状態にあります。

🔍 ポイント

  • 「m」は“metastable(準安定)”の略。
  • エネルギー状態が高いぶん、崩壊して安定な状態へ移行しようとします。
  • 医療分野では、99mTcは核医学検査において非常に重要な放射性核種です。

実際の過去問も見てみよう。

ご紹介するのは、第67回の国家試験「放射化学」分野で出題された1問。しかも午前1問目

つまり、最初の問題を取れるかどうかの重要な1問です。
ここでつまずかないためにも、しっかり理解しておきましょう。

放物の問題ではないですが、原子核の構造という内容ですから、取り上げてみました。

第67回 2015年 AM1
核種群について正しいのはどれか。

  1. 同位体は中性子数が同一である。
  2. 同中性子体は陽子数が同一で中性子数が異なる。
  3. 放射性同位体は異なる元素の核種で質量数が同一である。
  4. 同重体は陽子数が同一で中性子数が異なり不安定で壊変する。
  5. 核異性体は原子番号と質量数が同一で、核のエネルギー準位が異なる。

答えは分かりましたか?

答を確認する。


答えは 5 です。

  1. 同位体は原子番号が同一であるもの。
  2. 同中性子体は陽子数が異なり、中性子数が同一なもの。
  3. 放射性同位体は同一の元素の核種で質量数が異なるもののうち、放射性であるもの。
  4. 同重体は質量数が同一なもの。放射性であるかどうかは問わない。
  5. OK

医療現場でこの知識がどう役立つの?

検査用ベッドに横たわる患者が、ガントリー型の医療機器(PETやSPECT装置を想定)に入っており、放射線マークが機器上部に表示されている。手前では白衣を着た医療従事者が、パソコン画面に表示された人体画像と原子のマークを見ながら操作している。

核種の分類は、診療放射線技師として働くうえでとても重要です。なぜなら、使う放射性核種がどのタイプに属するかによって、取り扱い方や安全管理、さらには検査や治療の設計そのものが変わってくるからです。

たとえば――

  • 核異性体の例:⁹⁹ᵐTc(テクネチウム)
    • 核医学検査で頻繁に使われる放射性同位体です。
    • 「m」は準安定状態を示しています。
  • 同位体の理解はPETでも重要
    • ¹⁸F(フッ素)や¹¹C(炭素)など、陽電子を放出する同位体を使って体内の代謝活動を可視化します。
    • これらの核種は「同位体」でありながら、99mTcとは性質の異なる放射線を出します。
  • 同重体や鏡像体は研究分野で活躍
    • 医療現場ではそれほど直接使われることは少ないですが、核種選定の研究では、安定性や崩壊パターンの理解に役立ちます。

まとめ

核種の分類は、「似ているようで異なる」微妙な違いを見抜く力が問われるテーマです。

同位体・同中性子体・同重体・核異性体・鏡像体など、定義の違いをきちんと整理しておけば、国試でも確実に得点源にできます。

たなまる
たなまる

名前がややこしいけど、出題されるのは“違い”を見極めるパターンがほとんど!
定義の違いを頭に入れて、選択肢で迷わないようにしておこう!

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電爺
電爺

ほれ、ここまで読んだんなら、次はこのあたりを見ておくとえぇぞい。

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たまのすけ
たまのすけ

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