こんにちは。たなまるです。
放射線技師の国家試験の前に主任者試験に挑戦するってよく聞きますよね。
放射線科学生あるあるだと思います。
そこで、主任者試験に特有な単位の問題があるってご存知ですか?
それは色々な単位をSI基本単位で表す問題。
これ、普段使わない表現が多くて、すっごく困惑しやすいんです。
物理の後半に出てくる計測学領域で登場する機会が多く、ここで得点できると合格に間違いなく近付きますので、細かく見ていきましょう。
単位ってバラせるの? まずはジュールを分解してみよう
放射線の分野では、ある単位を見たときに「これはどんな意味を持っているのか」と考えることがあります。
そのときに役立つのが、単位を中身から考えるという姿勢です。見た目の記号にとらわれず、どんな要素で構成されているかを見抜く力が求められます。
最初に取り上げるのは、エネルギーを表す単位であるJです。
この単位が何を意味しているのかを、一つひとつ分解して見ていきましょう。
エネルギー=Jは何を意味する単位?
Jは、力を加えて物体を動かしたときのエネルギー量を表す単位です。
たとえば、1 Nの力で物体を1 m動かしたとき、その仕事量は1 Jになります。
ここで、Nという単位の中身を確認しておきましょう。
Nは、質量と加速度の積として定義されます。つまり、Nはkgにm/s²をかけたものです。
この関係をもとに、Jを分解していくと、次のようになります。
J = N × m
= (kg・m/s²) × m
= kg・m²/s²
このように、Jというエネルギーの単位は、質量、距離、時間という三つの基本的な要素から構成されていることがわかります。

この記事の最大のポイントはここです。
J = kg・m²/s²
Jの分解は主任者試験では必須知識です。
単位を分解すると、意味も深くなる
単位を分解してみると、記号だけでは見えなかった情報が浮かび上がってきます。
Jには、「どれだけの質量が、どのくらいの距離を、どのような時間の中で動いたのか」というエネルギーの本質が含まれています。
このように、単位の中身を見て理解することは、暗記に頼らない学び方につながります。
どんな単位も中身から理解することができれば、初めて見る問題にも応用がきくようになります。
そうは言うても、それが難しいんや。


意識するだけでも理解度が変わってくるよ。
丸暗記から卒業しようね。
次は、J以外の単位も同じように分解して、中身を見ていきましょう。
他の単位もバラせば怖くない!SI基本単位の見方
エネルギーの単位であるJが分解できたら、他の単位も同じように中身を見てみましょう。
J以外にも、試験でよく目にする単位には、意味を構成する要素がしっかり詰まっています。
一つひとつ分けて考えれば、初めて見る単位でも怖くありません。
電力W(ワット)は J を時間で割ったもの
Wは、電力の単位です。
これは、「エネルギーをどれだけの時間で使ったか」というエネルギー消費の速さを表す量です。
つまり、WはJを秒で割ったもので、次のように分解できます。
W = J/s
W = kg・m²/s² ÷ s
W = kg・m²/s³
エネルギーの単位であるJを時間で割ることで、1秒あたりに使われるエネルギー、すなわち仕事率になります。
Jの分解の応用ですね。

BqとHzは「1秒あたり」の意味で同じ仲間
Bqは、放射性崩壊の頻度を表す単位で、「1秒間に何回崩壊が起こるか」を表します。
Hzは、1秒間に何回振動があるかを示す周波数(振動数)の単位です。
どちらも単位は1/sで、次のように書けます。
Bq = 1/s
Hz = 1/s
つまり、どちらも「時間あたりの回数」という点で、同じ仲間の単位といえます。
断面積bはそのまま「面積の単位」
b(バーン)は、反応断面積と呼ばれる物理量の単位です。
反応が起こる「広がり」を示す量で、次のように定義されています。
b = m²
つまり、断面積はそのまま面積の単位です。特別な記号が使われていますが、中身は単純です。
bがm²であることを知っていれば、反応率や線量との関係も整理しやすくなります。
ちなみに、1b= 10-28 m2 = 10-24 cm2 です。
この単位換算は計算問題でもよく使います。
m2で使うのか、cm2で使うのかは、問題文で見極めて下さい。
GyとSvは「J/kg」で書けるエネルギーの比
Gyは吸収線量、Svは等価線量や実効線量に使われる単位です。
どちらも「どれだけのエネルギーを、どれだけの質量に対して与えたか」という比率を表しています。
Gy = J/kg
Sv = J/kg
これをさらに分解すると、次のようになります。
Gy = kg・m²/s² ÷ kg
Gy = m²/s²
Jをkgで割ることで、エネルギーの密度が見えてきます。
GyもSvも、エネルギーを質量で割った単位であり、意味の構造は共通しています。

どうでしょう?
単位を分解していくと、それぞれが何を表しているのか見えてきませんか?
次は、試験でよく狙われる特別な単位についても見ていきましょう。
試験でよく出る!単位の「本気の分解」4選
ここからは、特に試験でよく問われる重要な単位について、構成の中身をしっかり確認していきます。
このあたりの単位は、出題の頻度が高く、意味まで理解しておくと問題文の読み取りにも大きく役立ちます。
J(ジュール)=kg·m²/s² を覚える理由
Jはエネルギーを表す単位で、Nにmをかけることで求められます。
Nは質量と加速度の積なので、N = kg・m/s²です。
これにmをかけると、次のようになります。
J = N × m
J = (kg・m/s²) × m
J = kg・m²/s²
この形は、エネルギーの多くの式の中に含まれていて、他の単位の分解にもつながる基本的な形です。
まずはこの形をしっかり頭に入れておくと、応用の場面でも役立ちます。
Gy(吸収線量)はエネルギーの割合
Gyは、物質1 kgあたりにどれだけのエネルギーが吸収されたかを示す単位です。
Jをkgで割ることで次のように表されます。
Gy = J/kg
Gy = kg・m²/s² ÷ kg
Gy = m²/s²
Jを質量で割ることで、エネルギー密度のような意味になります。
この形はSvにも共通しており、構造としては同じです。
m²/kg(質量阻止能)は「面積÷質量」の意味
質量阻止能という単位を見ると、一見「面積を質量で割ったもの」のように見えます。
しかし、この形だけを見ても、物理的な意味はなかなかつかみにくいかもしれません。
そこで、まず出発点として「線阻止能」から確認しておきましょう。
線阻止能(Sl) は、荷電粒子が物質中を進む際、1メートル進むごとに失うエネルギー量を表す物理量です。
ここでの「l」はlength(長さ)に由来しており、単位はJ/mとなります。
ただし、このSlの値は、物質の密度に大きく左右されます。
たとえば、空気中と鉛中では、同じ粒子でもエネルギー損失の程度は大きく異なります。
このような物質ごとの違いを補正し、物質の種類によらず比較できる形にしたものが、質量阻止能(Sm) です。
「m」はmass(質量)を表しており、線阻止能を密度(ρ)で割ることで求められます。
数式で示すと、以下のようになります。
質量阻止能= 線阻止能 ÷ 密度
Sm = Sl / ρ
[J/m] ÷ [kg/m³] = [J·m²/kg]
このように、m²/kgという単位は、単なる「面積÷質量」ではなく、
長さあたりのエネルギー損失を密度で補正した結果として導かれるものだとわかります。
単位の形だけに注目するのではなく、意味の流れを理解しておくことが重要です。
C/kg(照射線量)は電気量と質量の比
照射線量は、放射線によって空気中にどれだけの電気が発生したかを表す量です。
もう少し具体的に言えば、「ある空気の質量あたり、どれだけの電荷(電気量)が生じたか」を示しています。
このときの電気量には、放射線によって電離された電子やイオンの合計量が含まれます。
単位としては、クーロン毎キログラム(C/kg)が使われます。
数式で表すと、次のようになります。
照射線量 = 総電気量 ÷ 空気の質量
= Q / m
= [C / kg]
ここで、Qは放射線によって生じた電気量(クーロン)、mは空気の質量(kg)を意味します。
C/kgという単位だけを見ると少し抽象的かもしれませんが、
「空気1kgの中で、放射線がどれだけの電気を作り出したか」というシンプルな考え方で理解できます。
この照射線量は、医療用X線の測定や管理、放射線防護の分野でよく用いられる基本的な概念のひとつです。
単位名の「○○率」や「○○あたり」の正体とは?
放射線の分野では、「発生率」や「吸収率」といった言葉をよく見かけます。
また、「何あたりの量」といった表現も、いろいろな場面で登場しますよね。
これらはすべて、ある量を別の量で割った比の関係を示していて、単位の形を見ることでその中身が見えてきます。
たとえば、空気1キログラムあたりの電気量は、照射線量そのものです。
これは「電気量 ÷ 質量」という形で表されていて、単位はC/kgになります。
同じように、「吸収線量」はエネルギーを質量で割ったものなので、J/kgという単位になります。
つまり、「○○率」や「○○あたり」という言葉は、「○○を××で割ったもの」として考えられるというわけです。
いくつか例を挙げておきましょう。
- 線量率:線量 ÷ 時間 → Gy/s や Sv/h
- 放出率(放射能):壊変数 ÷ 時間 → Bq(ベクレル)
- 表面汚染密度:放射能 ÷ 面積 → Bq/cm²
いずれも、「基準となる量あたりに、どれくらい起こるのか」を表しています。
こうした単位の形に注目してみると、「○○率」や「○○あたり」という言葉が、単なる言い回しではなく、きちんとした物理量の比を表していることがわかってきます。

よく出てくる表現を紹介していきましょう。
「時間あたり」って結局どういうこと?
「○○率」のような単位は、「時間あたりにどれだけの量があるか」を表しています。
つまりこれは、「単位時間あたりの(時間で除す)」という割り算の形です。
たとえば、線量率は「ある時間内に受けた線量」を時間で割ったもので、Gy/sやSv/hなどの単位を持ちます。
1時間に50Gyの線量を受ければ50Gy/h、10秒で0.1Svを受ければ0.01Sv/sとなるわけです。
「○○あたり」という表現を見たら、まずは「何で割っているか」に注目するクセをつけておきましょう。
「長さあたり」「面積あたり」の発想
放射線の分野では、「単位長さあたり」「単位面積あたり」といった考え方もよく出てきます。
たとえば、フルエンスは「単位面積あたりの(面積で除す)」の発想で、単位は1/m²になります。
また、表面汚染密度も、放射能の量を面積で割っているので、Bq/cm²のような単位になります。
このように、「○○あたり」という言い回しは、必ず分母に注目することで理解が進むのです。
単位の分母に注目すれば意味がわかる
単位を見るときは、分母にどんな量が来ているかに注目することが大切です。
ワークの表現にもあったように、「単位○○あたりの(○○で除す)」という形で捉えると、物理量の意味がとても見えやすくなります。
たとえば、照射線量は「単位質量あたりの(質量で除す)電気量」なので、単位はC/kg。
質量阻止能は「単位質量あたりの(質量で除す)エネルギー損失」で、J/kgになります。
そしてここで忘れてはいけないのが、線〇〇と呼ばれる量。
これは「単位長さあたりの(長さで除す)何か」であり、線減弱係数(μ)などがその代表例です。
線減弱係数は、物質が放射線をどの程度減衰させるかを、距離で割って表現した量で、単位は1/mです。
さらに、フラックス(flux)という言葉も登場します。
これは「単位時間あたりの(時間で除す)粒子の数」や「通過数」のような意味を持ち、単位は1/sです。
このように、「○○あたりの(○○で除す)」という見方を軸にすれば、ばらばらに見える物理量の意味も、きれいに整理できていきます。
単位は、量そのものの本質を語る“言語”なのです。
実際の問題を見ていきましょう。
それでは、ご紹介しましょう。
こちらは放射線技師国家試験ではなく、第1種放射線取扱主任者試験からです。
第59回 2014年 問21
吸収線量の単位をSI基本単位で表記した場合、正しいのは次のうちどれか。
m²·s⁻²·kg⁻¹m·s⁻²·kg⁻¹m²·s⁻¹m²·s⁻²A·s·kg⁻¹
解答を確認する。
正解は 4 です。
このページの序盤で出てきたんだけど覚えているかな?
実際にそのものズバリが出題されると「やっといたほうが良いかな」って感が増しますよね?
医療現場でこの知識がどう役立つの?

医療現場で Gy や J が登場するのはなんといっても放射線治療が最有力ではないでしょうか。
単位のSI単位変換こそ行いませんが、 Gy をこんなに使う場面は他にありません。
ただ、放射線治療ではMeV単位でエネルギーを表現しますから、JにしてからGyに持っていくという単位変換は行っているはずです。
まとめ
物理量をSI単位の構成要素まで分解して考えることで、「その量が何を表しているのか」をより深く理解することができます。
エネルギーは質量・距離・時間の組み合わせで表せるし、「○○あたり」という単位の裏側には、しっかりとした物理的意味が込められています。
表面的な記号や単位にとらわれず、中身をバラすことで、物理量のイメージは一気に具体的になります。
試験対策としても、意味のある単位の捉え方を身につけておくことは大きな武器になりますよ。

単位を分解できるってことは、物理量の本質が見えてくるってことなんです。
計算だけじゃなくて、意味まで理解しておきましょう。
知識として強く残りますからね。
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